線香花火

数年前にすい臓がんで亡くなった母親と僕の話です。

2019-01-01から1年間の記事一覧

資格

仕事をしていると、会社からは、目標達成のために資格取得をするように指示が出される。 IT系の会社では、よくあることだった。今の会社に入れたのも資格のお陰だと思っている。 昔、資格試験の勉強をしていると、おっ母が内容は分からなくても応援していた…

緊急外来

普段の生活では、病魔も姿を現さず平和な時間が続いた。 糖尿病の影響で、インスリンの注射を行っていた。油断をすると、低血糖になり意識朦朧となることはあったが、鞄にしまった。ブドウ糖を取ることで様態は落ち着いた。それでも、治らない場合には、車を…

1年

余命1年の宣告を受けてから、1年が経過した。症状は現れることなく平和な日々は続いた。 待ち時間の長い病院で、診察を受ける。後ろに座って、説明を受ける。先生は、それほど大きくなってないししばらく様子を見ましょうとおっ母に説明していた。おっ母を、…

通院

毎日の生活で、2週間に一度の通院は、1か月に1回に代わり、症状もなく安定していた。土曜の朝から、混雑した病院に並び予約はしていたけど順番通りいくわけでも無く。人が溢れた待合室で、ずっと待っていた。 2時間くらいが経ち、呼ばれた。朝から診察を続け…

日常

熱海旅行から帰ってきた。日々の生活でおっ母を観察していても、がんの魔の手は無いように見えた。 土曜の通院でも、同席して話を聞いたが、特に進行もないようなあるようなはっきりしない。感じの答えが返ってきた。このままずっと平穏な生活が続くと思った…

熱海旅行

病院から退院したおっ母は、すこぶる元気だった。趣味のパチンコに勤しみ、好きなものを食べ。よくしゃべりよく笑った。余命宣告された人間なのか?と疑問に思うくらい元気だった。僕は、2週間に1回の通院も付き添い、先生に症状の確認をした。 やはり手術は…

はじまり

それはまるで、暗闇を照らす小さな希望。身を削りながら、燃える小さな光だった。ちりちり、ぱちぱち燃える。儚く燃える、落ちないように消えないように、手元を照らす線香花火。 この話は、親を呼び寄せて一緒に暮らし、ほんの数年間の出来事と、最後は、病…