線香花火

数年前にすい臓がんで亡くなった母親と僕の話です。

緊急外来


普段の生活では、病魔も姿を現さず
平和な時間が続いた。

糖尿病の影響で、インスリンの注射を行っていた。
油断をすると、低血糖になり意識朦朧となることはあったが、
鞄にしまった。ブドウ糖を取ることで様態は落ち着いた。
それでも、治らない場合には、車を飛ばし病院に担ぎ込んだ。
しかし、病院について点滴を打ってるいると、体調も安定して
帰ると言い出す始末だった。

土日の緊急外来は込み合っていた。
運び込まれた人の状態で、優先度が付けられるのであろう
いつも早めに医師が対応してくれた。
年齢と脂汗をかいてるおっ母を見て、
早く診察してくれるのだから
感謝しなければならない。

たまに、事故で血だらけの患者が
ストレッチャーで運び込まれるのを
見ていると医療の現場は大変だと思った。
そういった人は優先的に対応していた。

はた目から見て元気そうな人で
追突されて腰が痛いと訴える人には、
「追突されて腰が痛いんですけど」
「後から症状が出るから今日は帰りなさい。」
状態と説明して、帰宅を促す医師に
納得ができないのか、今度は首が痛いと言い出す患者。
なんとしても、自分の状態と病人扱いにしてもらいたい
患者と医師の攻防があった。

一人ひとり症状があり、辛いのは分かるが
優先順位は大事なものだと思った。

処置が終わり、点滴の管を外されたおっ母は、
家に帰る気満々で、医師からは、低血糖の影響なので
帰宅問題なしとのお墨付きをもらい。
僕らは家路についた。

具合が悪くなるのが、家にいる時で
良かったと思った。独りぼっちの時では、
家で倒れて発見が遅くなって、
最悪の事態になっていたかも知れない。

おっ母の携帯を、交換して、
非常時には、ボタンを押せば、
電話で話せなくても、異常を示す事ができる
携帯に機種変更をした。

出来れば、この機能が使われずに済む生活が
望ましが、もしものために準備した。